2015年7月15日、安全保障関連法案が衆院特別委員会で採決が強行され、自民・公明両党の賛成多数で可決。
安倍首相は締めくくりの総括質疑で、「残念ながらまだ国民の理解が進んでいる状況ではない」と自ら認めたにも拘わらず。
翌16日、同法案が衆院本会議で単独採決が強行され、政権与党単独の賛成多数で可決され、参院に送られた。
同法案について、国会で与党推薦を含めた3人の憲法学者が違憲と断定し、最近の多くの機関の世論調査でも同法案に反対が多数を占めている。
朝日新聞天声人語2015.7.14で、「集団的自衛権は憲法9条の下で行使できないとしてきたこれまでの政府見解を百八十度ひっくり返す。
国民に問うこともなく、あっさりと。これは「法秩序の連続性の破壊」であり、法学的にはクーデターだった」と憲法学者の石川健治・東大教授が、雑誌「世界」で語ったことを取り上げている。
仮に、同法案が国会両院を通過したならば、一内閣の憲法解釈によって憲法違反の法律がつくられるという立憲主義に反した悪例を日本の憲政史上に残し、政権与党による独裁政治に道を開くことになる。即ち、ナチス・ドイツのヒットラーを生んだ「ワイマール・デモクラシーの悲劇」が、今日の日本で再現する。
ヒットラーの台頭によって第二次世界大戦の惨禍を引き起こした「ワイマール・デモクラシーの悲劇」の先例から、政治学者福田歓一(1923-2007)は『近代民主主義とその展望』 岩波新書の中で、わが国の未熟な民主主義の行く末について懸念を示していた。
本小文は、はじめに最近の同法案をめぐる幾つかの国会審議、関連する歴史的資料の抜粋及び別冊参考資料集を提示し、それらに対する若干の見解を末尾まとめで述べる。