2015年11月憲法を語る若者や女性たちの「ことばの力」

 「民主主義ってなんだ。これだ」
 安倍政権の安全保障法案強行に対して、国会正門前の群集の真ん中に立ったシールズの高校生や大学生たちが連呼した。彼らは、自らの意志で参加し、自らの言葉を語った。およそ政治に関心がなかった日常の中で、まやかしの平和安全法制が戦争法案であることを見抜き、危険が迫っていること皮膚感覚で感じとっている。

 彼らは言う。自分たちは生まれた時にはすでにバブルが弾けており、父母たちが経験したであろう好況時の恩恵をまったく知らず、失われた20年という不況の中で年々生活が苦しくなったことを実感している。農村は過疎化で人口が減り、地方都市の商店街がシャッター通りとなってさびれている。大都市に人口が集中し、地方との格差が広がるばかりとなっている。

 労働者派遣法施行により、非正規雇用が増え勤労者全体の平均賃金が切り下げられている。長引く円高不況による企業の海外移転による、国内産業の空洞化。その中で巨大化する金融資本主義経済によって、富めるものは増々富み、貧しいものは増々貧しくなってゆく。親からの仕送りが少ないためにやむをえず深夜のアルバイトをしている学生たち。多額の奨学金の返済を責められている若者たち。子どもの食事を十分に与えられない共働きの若い親たち。幼い子どもを抱えたシングルマザーたち。

 人・もの・金が一極集中する東京から遠く離れた東北地方を襲った4年前の3.11東日本大震災。明らかになった原発神話の崩壊。後手々になっている脆弱な災害対策。

 若者や女性たちの言葉の断片
「主権者はわれわれだ」、「ひとり一人が尊重されなければならない」、「選挙された議員は全国民を代表する」、「個人の尊厳を守るために立憲主義がある」
「憲法は俺たちの言葉だ」
「先人たちが獲得してきた立憲主義を受け止め、未来に引き継いでゆこう」
「基本的人権は、多年にわたる親たちが獲得したもので、我々にはこれを引き継ぐ責務がある」

「親たちが犯した戦争責任を、俺たちが引き継ごう」
「特攻隊で散っていった若ものの無念さを自らのものとしよう」
「俺たちは殺し、殺されたくない」、「若ものを戦場に送るな」
「戦争をしたくなくてふるえる」

「自分の言葉で語ろう」
「本気で止める」、「野党はがんばれ」、「安倍はやめろ」
「屁理をゆうな」、「九条守れ」、「集団的自衛権はいらない」、「憲法まもれ」
数々の政権の無法な行為に対して、心底からの怒りの国民の声「国民、なめんな」

 希望や夢が抱けない若者たちが、解釈改憲を強行する安倍政権の政治手法が反民主主義、反立憲主義、反平和主義であることを見破っている。

 相次ぐ理不尽な国会審議を通して、安倍政権の数々の憲法違反が国民の前に明らかになってきた。国民に民主主義、立憲主義、平和主義に目覚めさせてくれたのは国家権力を持つ安倍政権の功績である。民主主義とは、アメリカ国民が大英帝国から独立を果たしたように(独立戦争)、フランス国民が王政を倒し国民主権を獲得したような国民の意に背く権力者を取り替える権利、即ち市民革命を起こす権利が含まれる。

 ある人は、これまでに日本には民主主義がなかった。明治維新は下級武士によるクーデダーであり、敗戦によって立憲主義に則った平和国憲法が生まれたが、その中に書かれた民主主義は自らつかんだものではなかった。

 現在、安倍氏一派の壊憲クーデターに対し、これを廃案にしようと広汎な国民が立ち上がろうとしている。


日本国憲法(重要部分抜粋)

 前文
 主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 ○2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

 第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 ○2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
 ○2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

 第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

 第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
 ○2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
 ○3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
 ○4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

 第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

 第九十五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

 第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

 第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
○2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

 第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。