2013年4月 巡ってきた3月11日

あの日から三年目が巡ってきた。東日本大震災と福島原発事故を忘れないようにもう一度確認してみよう。

2011年3月11日午後2時46分、東日本太平洋沖一体を震源とする巨大地震が発生。巨大津波が東日本太平洋沿岸に押し寄せ、土地・建物・インフラ・人命の甚大な被害をもたらした。同地震と津波が福島第一原子力発電所に襲い掛かかり、施設を破壊して福島を中心に東日本一体に放射性物質をまき散らし、甚大な原子力事故を引き起こした。その放射性物質の汚染によって東日本の農林水産業の基盤を根底から破壊した。

満2年目を迎えても復興は今なお進まず、先の見えない日常のくらしが被害者を苦しめている。特に全福島県は、地震・津波・原発事故の三重苦が加わり、現状回復までの道のりの厳しさを一層際立たせている。
2011.3.11以前に比べ身近に有感地震が多くなったような気がする。

2013.3.10日比谷公園にて午前11時より「原発をなくす全国連絡会」、午前12時より「東日本大震災市民のつどいピースオンアース・ステージ」、午後12時より「首都圏反原発連合」、それぞれ3団体の反原発集会があった。
任意参加でわたくしは、昨年11月11日、12月15日「首都圏反原発連合」の反原発集会にも参加。両日共、あいにくの雨で寒い日だった。集会後、主要官庁街と銀座通りとデモ行進してシュプレヒコールを上げ、反原発の意思表示を行った。

昨年行われた総選挙の重要な争点の一つに「今後原発をどうするか」があったが、残念ながら「日本を取り戻す、景気対策など」を掲げる自民党が圧勝し、3年半にして保守政権が返り咲いた。全国アンケートの集計では、原発をなくしたいという世論が約7割以上を占めていた。選挙後の安倍政権は、これまでの民主党政権の原発政策を次々と覆し、原発再稼働、原発輸出、原子力規制委員会から反原発委員の排除などを行い、歴史の歯車を元に戻そうとしている。

昨年と今年にかけて国民の反原発の意思が大きく変わった訳ではない。選挙結果と反原発の主権者の意思は大きく乖離している。これは民主主義の危機といわざるをえない。小選挙区を採用する日本の選挙制度は多数派が有利、少数派が不利という大いなる欠陥をもっている。国民の生命・財産を左右する原発政策は、政権政党の専権事項ではなく本来国民投票にかけて決定すべきものだ。今やこれが自民党政権によって独走し始めている。残された道は、反原発集会などに参加して反原発の輪を広げてゆくしかない。

巡ってきた3月11日
すすまざる もどれざる日々 いぬふぐり 幹治


地震関係資料
NHKスペッシャル 巨大地震
東日本大震災を境に、各地でさまざまな異変が続いている。東北が中心だった余震が南へ移動し、首都圏の直下で頻発。また、活火山の中には発光現象などが観測され、活動が活発化した可能性を指摘されるところもある。「日本は今、長いサイクルで繰り返されてきた“大変動期”に入ったのではないか」という見方も生まれている。
そうした中、最新の科学は、今回の地震が残した膨大なデータを手がかりに、次の巨大地震や大災害を読む研究を加速させている。首都直下地震が危惧される東京。多くのプレートが重なりあう複雑な地下構造が明らかになり、複数のリスクがあることが、浮かび上がってきた。どこに、どんな規模の地震の可能性があるのか、詳細な調査が始まっている。さらに、300年間沈黙を続けている富士山。最新の研究から、直下にある“マグマだまり”が、巨大地震による地殻変動や余震によって“変形”を起こしている可能性が浮かび上がってきている。
2012.4.1NHKスペッシャル巨大地震
http://www.nhk.or.jp/special/megaquake2/

巨大地震が6千年間に15回 南海トラフ付近と高知大調査
高知大岡村真特任教授談 同県土佐市で実施した津波堆積物の調査について説明2013.1.29
東海、東南海、南海地震の3連動で起きたとされる宝永地震(1707)に匹敵する巨大地震が、過去約六千数百年の間に15回程度起きていた可能性があることを、高知県土佐市の池の津波堆積物を調査して突き止めた。
・東海沖から四国沖にかけての海底にある溝状地形「南海トラフ」付近の津波痕跡のデータはこれまでは約2千年前までしかなく、津波痕跡としては最古級。
・300年から400年程度の幅で1回、宝永級の地震が起きるとのこれまでの研究結果の裏付けになった。
2013.1.29共同通信

世界の地震分布
http://www.jishin.go.jp/main/yoshin3/f4.htm
日本列島とその周辺の地震活動
http://www.jishin.go.jp/main/yoshin3/f5.htm

原発関係資料
世界の原子力発電開発の現状他
日本では2012年5月50基全基が完全停止。同年7月大飯原発3号機、4号機の2基が再稼働。
世界の主要原発保有数、アメリカ104基、フランス58基、日本50基、ドイツ9基、韓国20基、台湾6基(2012年7月現在)
一般社団法人 日本原子力産業協会 最新更新2012.7
http://www.jaif.or.jp/ja/joho/press-kit_world_npp.pdf

福島原発事故満2年、各国で反原発活動 台湾では10万人
■台湾
【台北=村上太輝夫】東京電力福島第一原発の事故から2年になるのに合わせ、台湾各地で9日、大規模な反原発活動があり、台北では市民団体主催のデモに約10万人が参加した。世論の高まりに伴い、原発建設の是非を問う住民投票が争点として急浮上している。
台湾では1999年に建設が始まった第四原発(新北市)が与野党の政治対立で建設が一時凍結され、完成が先延ばしされて安全性に疑問が持たれている。

先月末、建設を進めたい馬英九(マーインチウ)・国民党政権が「原発建設中止を支持するか」と問う住民投票を提案する方針を決めた。全有権者1800万人の過半数が投票し、その過半数が支持すれば可決だが、このハードルは高く、「建設を中止しない」という結論が出るのを国民党は狙っている。

だが、これが反原発の立場の野党・民進党や運動団体を刺激し、文化人も立ち上がった。日本のドラマ出演で知られるリン・チーリンさんらも加わっている。
第四原発には2800億台湾ドル(約9千億円)以上を投入済み。江宜樺(チアンイーホワ)・行政院長(首相)は「原発を止めたら電力料金が上がる」と弁護するが、公営企業の台湾電力に対しては経営努力が足りないとの批判がつきまとう。

投票は今年後半に行われる見通しだ。デモ参加者には「原発には反対しないけど第四原発は心配」(台北・輔仁大3年の鄭馨宜さん)といった穏健な声が目立った。第四原発は6割以上が反対とする世論調査もあり、住民投票は国民党政権の思惑を超えた結果が出る可能性がある。

■韓国
【ソウル=中野晃】ソウル中心部の広場で9日、東日本大震災の犠牲者を追悼するとともに、緊迫する朝鮮半島を含むアジアや世界の「非核化」を訴える集会があり、在韓被爆者らも参加した。

環境保護団体などが呼びかけ、韓国各地から数千人が参加。広島・長崎の被爆者やその子孫らも参加し、合唱で「核兵器も、核発電所(原発)もない世界を」と呼びかけた。慶尚南道の陜川(ハプチョン)に住むペク・トゥイさん(86)は広島で被爆。間もなく母が亡くなり、日本の敗戦で韓国に戻った十数年後、後遺症で夫や親類を次々と失った。「原爆の怖さを知らない人が多い」と話した。

盧武鉉(ノムヒョン)政権時代に首相を務めた韓明淑(ハンミョンスク)・民主統合党元代表も参加。北朝鮮の核実験と韓国で広がる「核武装論」に関連し、「いまこそ、北東アジアの非核化を明確な目標にすべきだ」と述べた。

■ドイツ
【ハーメルン=松井健】ドイツの反原発市民団体が9日、北西部ニーダーザクセン州のグローンデ原発の事故を想定した訓練を行った。「大災害が9千キロ離れたところではなく、あなたの家の前で起きたと想像して」と呼びかけ、原発の即時運転停止を訴えた。

長年、反原発デモが盛んなドイツでも実際の事故を想定した訓練は珍しい。放射能漏れで原発の周囲40キロが立ち入り禁止になったとの想定で、主催者によると約2万人が参加。原発周辺の町避難してきた人の車を防護服を着た人たちが除染したり、子供たちがペットの犬を連れて避難したりする訓練をした。

グローンデ原発は「笛吹き男」の伝説で有名なハーメルンの近くにある。1985年に営業運転を始め、ドイツ政府が福島事故後に決めた「脱原発」政策により、2021年までの閉鎖が決まっている。
朝日新聞2013.3.10

台湾総統、日本を参考に「原発維持」
「日本の原発政策転換は非常に参考になる」台湾の馬英九総統が、こんな発言を繰り返している。東京電力福島第一原発事故が起きた日本ですら原発ゼロを目指していないとして頑発を維持する政権の立場を正当化する論法で、野党や環境団体の反発を招いている。
朝日新聞夕刊2013.3.13