2010年1月冬三日月

12月21日快晴、仲間と昭和記念公園へイルミネーション「テーマ海」のデジカメ撮影に行く。立川駅改札口で落ち合い午後5時に立川口より入る。道すがら西方向に裾野を引いた富士山のシルエットが見える。翌日(冬至12月22日)読売新聞朝刊多摩版をみると、この地点から、わたくし達が歩いていた約30分前のダイヤモンド富士を撮った写真が載っていた。ここは多摩地区の富士山撮影の隠れスポットのようだ。
(当日東京 日の入り16時31分 月入り 20時49分 :国立天文台 天文情報センター)

会場に入る頃には段々薄暗くなり、互いの顔もカメラの操作面もよく見えない。夜間撮影にはペンライトが必要なことを知る。入口近くにシンボルツリーのキングオブシャンパングラスツリーが設置されている。ツリーはシャンパングラスの数が6,545個を重ねられ、高さは約4.5mという。赤色と緑色の照明が十数秒間で交互に入れ替わる。

その先に全長200mのカナール(水路)が続く。両端に銀杏並木、小噴水が一列に4つ、そして一番奥に大噴水、その外側は数個のシャンパングラスを重ねた植え込み、左右に舗石を敷き詰めた広い歩道、左右対称の西洋庭園である。今は夜間のためどんな花木が植えてあるかはよく分からない。枝々にさまざまな電飾が施され、漆黒に電飾が輝く夢の国に迷い込んだようだ。

電飾に見とれてみんなの足が止まる。ほとんどの人はケイータイを持っている。遅れて来た人と連絡を取り合い、ようやく大噴水の奥にある電飾された大欅の下で全員が揃った。この闇の中では自分が何処にいるか方向感覚が無くなってしまうので、人との待ち合わせが難しい所だ。ここで迷子になると大変だ。

ふれあい広場の斜面が「海」をテーマにしたグランドイルミネーションだ。大くらげが数個浮かび、電飾の海原に同じく色とりどりの烏賊や魚が飛び跳ねている。壮観だ。遠くに先ほどの大欅が見える。先客は沢山いる。斜面の上にカメラ三脚を据え撮影にかかる。指導者の指示で、皆それぞれのカメラの設定をする。移動しながら構図を考えカメラを左右に振ったり、少しズームを効かせたり、上下にしたりして次々にシャッターを切る。わたくしの設定は次の通り。

使用カメラ キャノン製コンパクトカメラG10
・シャッター速度優先(Tv) 2秒
・ホワイトバランス     太陽
・測光方式         評価測光
・露出補正ダイヤル     ±0
・ISO感度         100
・セルフタイマー      2秒

ところどころ海面見立てた布が張られてあり、そこが遠くの光を受けて鈍く光っている。これを効果的に取り入れると面白い絵になると教わる。そこで約1時間の撮影を終え小広場の真ん中の大欅の位置に戻る。この大欅は電飾された枝が四方八方に広げている。画面一杯に横と縦の撮影をする。そこで茶菓子で一時休憩し、上部に天女が舞う大噴水の場所に移動する。ここからは小噴水とシンボルツリーが遠望できる。

丁度よい具合に三日月が上がってきた。大噴水上部の天使が舞う脇に三日月を入れ撮影する。移動しながらさまざまの角度から大噴水の周りを撮影。直線状に伸びた幾何学模様のカナールの電飾は面白い。最終の撮影はシンボルツリーだ。ツリーの近くまで来て撮影をするが、電飾されたツリーが白っぽくなってしまう。シャッター速度を1秒から0.5までさげてみるがやはり白っぽくなって赤と緑の色がでない。時間の関係で本日はこのままでとし撮影を終了した。
冬三日月 大噴水を はねあげて 幹治



イルミネーション考

12月に入ると各地のイルミネーションの話題がマスコミに登場する。今年初めて昭和記念公園のウインター ビスタ イルミネーションをみた。若い人が沢山来ている。夜間に浮かぶイルミネーションは見事だ。喪服を着た女性が美しく見えるように、漆黒の背景がイルミネーションを際だたせている。この種のものは、はじめから商業的な意図があり、最初は簡単な仕掛けであったものが、時代とともに次第にさまざまにデザインして豪華になってゆく。

撮影は光を読むことが大切だ。光には自然光と人工光とがある。前者は歳時記にみられる、時候、天文、地理、行事、人事(室内の外光を含め)、動植物などのさばさまざまな屋外の場面があり、自然光による陰影が撮影の重要なポイントになる。後者は室外のイルミネーションや室内の照明がある。

イルミネーションには自然光に相当する陰影がない。そのため、撮影した写真に深みのある味わいが出にくい。これはどこまでいってもあだ花(つくりもの)である。それでも人々(わたくしも)は誘蛾灯に集まる昆虫のように惹きつけられてゆく。

ヒトがつくりだしたイルミネーションは、元は太陽エネルギーを蓄えて電気エネルギーに変換したものだ。ヒトは零からエネルギーはつくりことはできない。全てものものは太陽からきていることを忘れてはならない。これを忘れると自然から大きなしっぺ返しがくる。これが今日の地球環境問題だ。