2009年3月味噌づくり

立春を過ぎるころ、肌刺す風はまだ冷たいが日当たりにいるとストーブにあたっているようにあたたかい。その後しばらく天気の良い日がつづいた。2月13日には久しぶりに一晩中雨が降り、朝起きて地面を見るとしっとりと湿っていた。2月14日、八王子の最高気温が23℃になり、道行く人はコートも脱いで4・5月ころの気温になった。

2月15日(日)、味噌づくり講習会。家庭菜園の仲間総勢12人(ほぼ男女同数)が味噌づくりを体験しようと八王子南部の市民センターの調理室に集まった。先生は各地で味噌作りを教えている30代既婚のポニーテールの女性である。簡単な自己紹介があり、早速白板を使い味噌仕上がり重量1kg~10kgまでを材料表にてあらましの説明がなされた。各々の味噌仕上がり重量に対する材料比率は同じである。

今回、全体で仕上がり味噌総量10kgをつくる。一人当たりの分量は1kg/だ。わたくしは、家で5kgの味噌をつくる予定でいたので、今回は大豆と米こうじの材料だけをもらって見学することにした。各家から3台の圧力釜もちよった。
わたくしが家からもちこんだ釜:T‐FAL製 4265-6L(最大容量6リットル)
ここでは、家でつくった仕上がり味噌重量5kgの手順に直して記述する。

1 仕上がり味噌と材料の重量比
仕上がり味噌:大豆:米こうじ:天然塩=5kg:1.25kg:1.25kg:0.5kg

2 大豆を洗い、水に浸す
ごみや傷ものを取り除き、きれいに洗い、大豆の4倍量の水に24時間浸す。
(この時間は寒仕込みの場合。夏場は腐るので、冬場の半分以下に時間にする)

3 圧力釜で煮る
浸した大豆とその水を圧力釜に入れ、釜の中に落し蓋をのせ火にかける。
高圧にセット。最初強火にして圧力がかかってから弱火にして約20分煮る。

大豆を煮ている間の準備作業
4 味噌を仕込む容器の準備
予め、味噌を仕込む10Lの容器(家での蕪寿司の仕込みに使ったポリ容器)を用意し、よく洗って乾いた布巾で拭いておく。更に、容器の内側を35%のアルコールで拭いて殺菌する。ポリ容器の内側に最大容量30L厚さ0.025mmのポリ袋を2枚を重ねて敷いておく。

5 米こうじと塩の混ぜ合せ
米こうじ1.25kgと塩0.5kgを混ぜ合わせる大型の鍋を用意し、よく洗い乾いた布巾で拭いておく。この材料を鍋にいれ、よくもみこむように、こうじの香りが立ってくるまで両手で強く混ぜ合わせる。この作業を“塩きり”という。こうすると、こうじの発酵がとまりよい状態になる。

6 煮あがった大豆をつぶす
熱いうちにすりこ木を使って十分につぶす。
ここで問題は擂り鉢とすりこ木だ。講習会では調理室に昔懐かしい大型のすり鉢があったのでそれを使ったが、家にはその両方がない。そこで、パスタを茹でる深底の厚手の鍋をすり鉢、すりこ木の代わりにジャムを入れた瓶を代用に使った。
参考書ではゆでた大豆を布袋に入れてビール瓶で叩く方法を紹介している。

7 “塩きり米こうじ”をすり潰した大豆と混合わせる
すり潰した大豆が人肌位(50℃前後 熱すぎるとこうじが死ぬ。低すぎると発酵が悪くなる)になったら、“塩きり米こうじ”を入れてよく混ぜ合わせる。一箇所でも混ざらないところがあると、そこから腐るので両手で体ごと使って混ぜる。
混ぜるときに、固くなったら大豆の煮汁を少しずつ入れ程よい硬さにする。

8 混ぜ合わせた仕込み味噌を10Lポリ容器にいれる
まだ温かいうちに両手で12個の味噌玉をつくり、これを仕込み容器に叩きつけて空気を抜く。味噌玉を次々に入れきっちり容器につめる。つめ終わったら平らに均し、その上に残しておいた一握りの塩をまんべんなくふりかける。塩をふると、味噌と空気の間に膜ができて殺菌効果が生まれ味噌がかびるのを防ぐ。

9 落しぶたをして約1kgの重石をのせる
2枚のポリ袋の1枚目を内側に折り畳み、次に2枚目を折り畳む。その上にポリ容器付属の落しぶたをして重石をのせる。落しぶたは、予めによく洗い、熱湯消毒をして乾かしておいたものを使う。重石は味噌重量の約1割、味噌5kgの場合は500gになる。
参考書:作って食べよう みその本 文化出版社(昭和57年9月発行)

以上の内容は、味噌作り体験した内容と参考書をもとに、自分が作る場合に合わせてまとめてものである。

調理室で10kgをつくった場合はどうだったか。
圧力釜:釜の種類が違ったが、浸した大豆を3等分してほぼ同じ時間で炊けた。
擂り鉢:調理室には家庭用大型の擂り鉢とすりこ木があったので、10分位で細かく摺って潰すことができた。全工程約2時間で完成した。

家で5kgをつくった場合はどうだったか
圧力釜で大豆を炊く:24時間水に浸した大豆を2等分して釜にいれる。大豆に被る位の水を入れると釜の1/3位の容積になった。これで高圧で炊いたところ、しばらくして沸騰しノズルや蓋から水がこぼれた。あまり圧を上げると沸騰するので低圧に下げて炊く。20分の自然冷却を待って蓋を開けてみるととまだ硬い。これを3回位繰り返し、あとの半量も炊いたので、結局この工程で約3時間かかった。これは圧力釜の高圧がうまく作動しなかったのが原因だった。後日修理に出すことにした。

炊いた大豆を潰す:家には擂り鉢がないため、大豆を深鍋に半量ずつ入れ、手ごろの空瓶で餅つきのようについた。そのうちに、瓶が重いので手首が疲れた。そこでジャガイモ潰しを思いだし、ついてみると意外に軽くて具合がよい。これで全量潰すのに約小1時間かかった。
大豆と塩きり麹の混ぜ合わせ:5kgの味噌の量は案外多い。幸い家には15L位の大鍋があったので、それに入れて混ぜ合わせた。段々にまとまってくると固くなるので、煮汁を継ぎ足し継ぎ足しこねる。これが約30分。これが結構力仕事だった。

予め、味噌が触れる容器類は35%のアルコールで殺菌しておく。
10Lポリ容器に詰める:容器に約30Lのポリ袋を2枚敷く。この内側に味噌玉を貼り付ける。こねあがった味噌を掴み上げて味噌球をつくる。野球ボール位の大きさが12個できた。これをポリ容器に一つずつ叩きつけ、壁面に貼り付ける。こうすることにより余分な空気を抜くのである。最後に味噌の表面を平らにし、殺菌用に一掴みの塩を振りかける。2枚のポリ袋の上部を内側に折り曲げ、その上に1kgの小石を詰めた重石んのポリ袋を上にのせる。全工程約4時間半をかけてようやく完成した。

手前味噌づくりには、まず道具類、材料の大豆と米こうじと荒塩を揃えることから始まる。仕上がり味噌5kgの材料費は約2,500円だった。1kg当たり500円になる。通常、店で売っているものはキロ当たり300円から400円なので、手間をかけても割高となる。少量生産は材料費が割高になるためか、大量生産との価格差は極めて大きいことが実感だ。便利な世の中で、敢えて少量の食べものを自分でつくってみた感想は、本物の食べものをつくるには手間が多くかかり割高になるということだった。

全身を かけてもみこむ 味噌づくり 幹治


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