2008年2月鍬始

三ヶ日は晴天が続き、庭の日陰には霜がおりていた。その霜も午後にはゆるんでくる。この時期、霜の降りと解けが毎日繰り返される。日当たりの良い場所の土を踏むと泥が履物の裏に張り付く。寒に入って三日目の1月8日、9時に中山の下段畑へ行く。畑の南側は道路に面し、その向こうに丘がある。畑の約1/3は朝日が丘に遮られ日が当たらないため霜で一面に真っ白になっている。その上を踏むと霜がつぶれ少し沈む。近年暖冬が続き強霜が降りない。霜の降り方の変化で地球温暖化の影響を実感する。

この畑の北側端に落葉を積んだ二槽の堆肥場がある。右槽は昨年末に落葉を積んだばかりのもの、左槽は一昨年に落葉を積んで熟成し堆肥になったものだ。これを車に積んで中段畑に持って行き鋤きこむ、これが今日の最初に仕事だ。45㍑の橙色のボランティア袋を6枚用意し、シャベルで左手の槽の堆肥をすくって袋に詰める。猫車に三袋積んで車まで二回往復して運ぶ。次は中段畑だ。この畑はなだらかな丘陵の南斜面に位置し日当たりはよい。そのせいか畑面は下段畑のように霜で白くなっていない。その中の約15坪(幅約5m×奥行き約10m=15㎡)の小さな一枚の畑に堆肥を入れる準備をする。

まず、平鍬を使って平らな畑面に畝間となる溝を掘る。知人はこれをさくり鍬といっていた。サクサクと掘れるという意味か。ここ昨年は胡瓜をつくった畑と記憶しているが、土は柔らかい。堆肥を入れるために30cm位は掘り、掘った土を溝脇に掻きあげなくてはならない。そのまま手前に退きながら掘ってゆくと、土は手前に溜まるだけですぐに一杯になる。これを見ていた知人が、立つ位置は溝に直角に向き合うのではなく、溝に沿って立ち、斜めに土を掻きあげろと教えてくれた。その通りにすると土は溝に沿って盛りあげられるが、今度は溝が手前に曲がってしまう。時々眺めて溝が真っ直ぐになっているかどうか確認することが必要だ。鍬で畑を打つという単純な動作もコツがある。むやみに手首だけを使ってはいけない。腰を据え、体全体を使うと疲れない。なんでも腰が大事だ。農作業はよく体で憶えよということをいわれるが、改めて納得する。

平鍬:刃床部はあまり厚くなく、耕起、畝つくり、植え付けに使用する。
唐鍬:刃床部は厚みがあり、小ぶりで、開墾、耕起に使用する。
備中鍬:刃床部が3、4本に分岐したもので、開墾、耕起、農作物の収穫に使用する。
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次に上段畑に移動し、完熟した牛糞をばら撒いた約30坪(約100㎡)にミニ耕運機(約2馬力:735.5W×2)を使い鋤きこみ作業をする。耕運機のアクセルは左右に動くようになっており、右方向が弱、左方向が強だ。アクセルを強にして畑の外周から半時計方向に内側に向けて進ませる。放っておくと機械が前進するので、幾分ハンドルを引き気味にし、4・5秒位止めながらそろそろ進める。十分に土を混ぜ合わせなくてはならないので、同じところを二度位耕すことになる。

一ふりの 天地かへしや 鍬始 幹治