2008年12月冬菊

初冬に入り、朝夕めっきり肌寒くなってきた。11月11日中山の畑に行く。どの畑の隅にも真黄色の冬菊が植えられてある。本日快晴。大空の青を背景に、地上には鮮やかな冬菊の黄が点在している。菊は一本づつよりかたまりが見事だ。近づいてみると日向くさいどこか懐かしい香りがする。

菜園クラブの畑は下畑・中畑・上畑と3箇所に分かれおり、わたくしの6坪の畑は上畑にある。下・中・上の畑はそれぞれ1反(約10a)弱の面積で、その間に数軒の農家の畑が割り込んでいる。それぞれが100~200m離れており、その間は畑道でつながっている。道幅が狭いので車は小型車しか通れない。わたくしは、その間を車に同乗するか歩いたりして移動する。菜園クラブの仲間は自転車、バイク、小型車などを使って通ってくる。専業農家ではないクラブの代表は雨さえ降らなければ毎日通っている。

以前に、八王子千人町の八王子大根出荷組合の若い方にお会いしたことがあった。この方は八王子でも数少ない専業農家で、昔は周辺が田んぼだったが、田畑が家から離れているため、今は車で農地に通う通勤農家のようだといっていた。八王子市は三方が山や丘陵に囲まれ市街地が広がっているが、郊外にまだ田畑は残され、東京近郊でも人口の多い田園都市ということができる。八王子産の農産物の生産高は三多摩一と聞いているが、まだまだ地元の農家と消費者が密接な関係にはなっていない。八王子に都内初の道の駅が滝山2007年4月1日に開駅した。今のところ全ての農産物が八王子産ではないが、今後地産地消(地域生産地域消費)の核として注目されている。

最近では各地に農産物直売所を見かけるようになった。これは、農家の庭先に農産物を並べ、消費者が買いに来るというシステムだ。農家と消費者が直接顔を合わせるので、作物の実態がよく分り、途中の経費が不要なのでお互いが得をする。これからは、なんでも大きいということは無駄が多い、小規模の核を沢山つくることが本当の意味の省エネルギー・エコ社会(循環型社会)になる。

{生産農家が農作物を市場へ出荷すると途中に幾段階も経由して消費者に渡り、その間に流通コストがかかる。その結果、生産者渡し原価の何倍もの小売価格で消費者が買うことになる。また一般に規模の小さい農家、末端が大規模な販売店という構図になっているので、どうしても販売側の言い値が通り、生産の出荷価格が抑えられる。

以前の農林省のデータで1時間当たりの全国農家の平均労賃が256円とかいてあり驚いたことがあったが、最近では200円さえも割っているようだ。これでは農家の経営が成り立たず、本気で農業をやろうとする若い人が出てこないのも当然だ。この現実を消費者はどの位知っているだろうか。
また企業は大規模になると生産と消費の距離が離れ、互いの顔が見えにくくなる。その結果、効率第一・利潤追求になりがちになり、監視の目が届かないと不正が紛れ込むことも起きる。

今年の春から、中国産冷凍ギョーザ、汚染米の汚染物質や残留農薬など輸入農産物の中毒事件、冷凍鰻産地詐称事件、国内産各種農産物の産地詐称事件、国内産各種農産物の製造日違法変更事件等が多発した。消費者は、これらを監督する監督官庁、生協等の大手食品販売業者や生産者が信じられないことを思い知らされた。ここにきて、ようやく消費者は人任せにしないで自衛すること必要だと悟るようになったようだ。

冬菊の 下の畑より 上の畑 幹治


「冬菊と寒菊」の違い
冬菊
〔別名・異名〕
霜の菊。古歌には初見草、霜見草、雪見草、残り草の雅名で読まれている。
〔種類〕
キク科の多年草。野生のノジギクは海岸近くの崖などに群生して、丈は60cm~1mになる。兵庫県の県花である。

寒菊
〔別名・異名寒菊〕
寒菊は広義には冬に咲く菊の総称であるが、ふつうはシマカンギク(別名油菊、浜寒菊)を原種とした冬咲きの園芸品種を指すと考えられる。この場合には、冬に咲き残った普通種の遅咲きはとくに冬菊と呼び、寒菊とは区別したい。
〔種類〕
シマカンギク(島寒菊)は近畿地方以西~屋久島に至る海に近い山麓地に自生する。冬咲きの多くはノジギク系統であり、シマカンギク系統は少なく、寒菊のほかには油寒菊、薊寒菊くらいである。
四季花ごよみ 冬草木花の歳時記:講談社