2006年8月 蓮の花

7月6日朝、ついにハスが純白の花を咲かせた。蓮鉢の水面に花芽が現れてからこれまでに約2週間位かかったろうか。はじめは小指ほどの蕾と縦の巻き葉が水面に現れ、毎日少しづつ花柄と葉柄を伸ばしていった。開花の前日、大きく膨らんだ蕾の先がやや開き気味になった。開花当日は朝4時に起きて蓮鉢をのぞきこんだ。ハスは気品ある大型の花を咲かせ、あたりにかすかな芳香を放っていた。

これは町田市円林寺からもらった5個の大賀蓮の実が、4年目にしてようやく花を咲かせたものだ。実を植えた年には葉柄が50cm位に伸び直径20cm位の葉をつけた。翌年の3月末に掘り上げると蓮根は約1cm弱の太さになっていた。これを3年間くりかえし、植え替えて育てた。蓮根はすこしづつ太り、今年の春には約2~3cmの太さになった。植え替え時に、思い切って蓮根の数を3本に減らして一鉢に植えた。余った蓮根を煮て食べてみたが、筋が多くてあまりうまくはなかった。

一般に、ハスは早朝の3時ごろからゆっくりと花弁が開き始め、午前8時ごろまでに一番美しい形になり、午後には閉じる。これを3日間くりかえし、4日目には花弁がちるといわれている。

1951年3月千葉県検見川東京大学グランド地下9mの泥炭層から、丸木舟と一緒に3粒の蓮の実が発見された。この蓮の実と丸木舟をシカゴ大学原子核研究所に送って年代分析と鑑定を依頼、その結果、弥生時代(約2000年前)のものと判明した。このうちの一粒だけが大賀博士の手によってその年の5月に発芽し、翌年7月18日に開花した。大賀博士を記念してこのハスを大賀蓮または古代蓮とよばれている。

ハスは、ハス科ハス属の水生多年草。インド、中国、日本など熱帯および温帯アジアとオ  ーストラリアに、北米南部と南米北部にキバナハスが分布している。東洋では古くから愛さ れてきた植物で、宋の周茂叔の「愛蓮説」には、「菊花の隠逸、牡丹の富貴、蓮の君子」と 汚泥より出ても清廉無垢の花を咲かせるのでハスの品性を君子とたたえている。
  ハスの雌しべは円錐状の花床を立てて埋まっている。そのまわりを金色の無数の雄しべがと りまく。この花床が成熟して果床になるとハチの巣のような穴があき、この穴に1個ずつそう果 ができる。ハスの古名ハチス(蜂巣)はこれから連想したもので、なまってハス(蓮)になっ た という。                         
NHK趣味の園芸2003JULY⑦他より

植木職人はジョウロの先を蓮口いうが、ドンピシャリのみごとな用語である。こういう味のある言葉は残ってほしいものだ。

2000年 蓮の分かれの 一花かな 幹治