2004年2月 下萌

春山遭難。福井県勝山市と石川県白峰村の県境にある大長山(おおちょうざん)(1671メートル)で冬山合宿後、下山できなくなった関西学院大学ワンダーフォーゲル部の男子部員14人が、2月7日に救援要請をし、49時間後の9日午後2時半までにヘリコプターで全員救助された。入山は2月3日。前日に週間予報にて大雪が1週間続くとの警報が出されていた。大雪警報を承知した上で、敢えて冬山の経験を積むために、山行計画が承認され登山したものという。

立春を過ぎると、冷たい空気の中に微妙に春の気配が感じられ、裸木の幹や枝がこころなしか艶を帯びてくる。遠山は、まだ雪を被り冬を引きずったままだ。歳時記では2月より春になるが、山の上は未だ冬の最中で、北国の山は、1から2ヶ月遅れの3から4月頃から春になる。

大自然の中に入ると、ヒトは1匹の生物に過ぎなくなる。冬山は、天候が良いと美しく荘厳にも見えるが、一度荒だすと牙をむいて人間に襲いかかってくる。準備した装備や経験だけでは、予想もつかないことが起きるのが自然である。このように自然は、時には手荒い試練を人間に与えてくれる。
 
2月9日。野草グループの15名の面々が小宮公園に集まる。公園の正面入口のソシンロウバイ(素心蝋梅)は既に満開。花に顔を寄せると仄かな匂いがする。黄色が鮮やかで品のある木である。つつじの小道に沿って歩くと、ソシンロウバイの生垣の外れに薄い黄色のロウバイ(蝋梅)に出会う。また、ところどころにマンサクが咲いている。葉が残っていないのがマンサク(満作)で、シナマンサク(支邦満作)は葉が付いているので区別がつく。

ひよどり山の草地にくると、タネツケバナ(種漬花)やナズナ(薺)の白い花が僅かに顔を出す。元気農場との境の土手には、1花、カントウタンポポ(関東蒲公英)が地面に貼りついていた。

観察した木
ロウバイ、ソシンロウバイ、マンサク、シナマンサク、サンシュユ、ユーカリ、アキニレ、ミズキ、クロモジ、ムラサキシキブ、イヌザクラ、キブシ、ウグイスカグラ、ツノハシバミ
観察した野草
ハナダイコン、イヌノフグリ、タネツケバナ、ホオケノザ、ナヅナ、ヒメオドリコソウ
観察した野鳥
ハクセキレイ、ムクドリ、カシラダカ、ヤマガラ、ツグミ、エナガ、スズメ、ハシブトガラス