2004年10月 コスモス

 「今年は天気が良かったから、反当り8から9俵位はとれるかな」田圃の端に立っているお百姓さんに声をかけると返事が返ってきた。秋に入って終日曇りや雨になる日が多くなった。久振りに快晴となった日の午後、稲刈りを見に高月町の田圃へ行く。見渡すと、殆どの田圃は稲刈りが終わっているが済んでいないところも少し残っている。稲穂を手にとってみると、多少日焼けしているようだ。

今年は台風の当り年である。夏から雨を伴った大型台風が次々に日本本土に上陸し、全国各地で河川の決壊、土砂崩れ、家屋の損壊などが被害を受け、三重県宮川村などは何度も風水害に見舞われている。

 稲の原産は熱帯といわれているが生育時にあまり暑過ぎるのも良くないそうだ。タイなどの稲作が盛んなところでは二毛作ができるが、反収では日本の約半分位という。稲の品種改良が進み寒冷地の北海道でも稲が作られるようになり、今や収穫量は北海道が全国で一番多いそうだ。

気象庁は10月1日、東京や熊本など全国12地点で真夏日(最高気温30度以上)の通算が従来の記録を更新したと発表した。ちなみに東京は70日とのことだった。70日といえば2ヶ月と10日になる。このままゆくと50年後には、半年位が真夏日となるという予想も出ている。今や世界各地で異常気象が起きハリケーンの猛威、洪水の発生、地球温暖化のために極地やヒマラヤ等の大雪渓では大きく後退しているという。

農道を歩いていると、そよ風が稲のこうばしい香りを運んでくる。ここの田圃の稲刈りは例年、9月20頃から始まるそうで今日で半月あまりほぼ稲刈りが終わっている。ここの田圃は約30ha(約30町)位ある。今は稲刈機を使うので、1台で1日20a(約2反)位は楽に刈り取れるそうだ。昔は一株づつ手で刈り取ったので大変な作業だった。田の仕事は田植えと稲刈りが1番人手を必要とする。私も子供の頃祖父母の家の田植えや稲刈りを手伝った。今では田植えも稲刈りも機械を使うので、昔ほど人手が掛からず土日農業の兼業農家でも稲作ができるという。

八王子市の農家が生産する米の95%が自家消費米になり、残りの5%が親戚縁者に配られるとのこと。平地で獲れる米よりも生活廃水が混入しない谷川の水が引ける棚田の米の方が美味しいそうである。ここ高月町では多摩川上流の秋川の水を取り入れ、銘柄を「清流米」としている。
畦道ではコスモスが風にゆれ、白山菊、野紺菊などの野菊が咲き乱れていた。